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『猿之助三代』を読んで


猿之助三代 (幻冬舎新書)

猿之助三代 (幻冬舎新書)

  • 作者: 小谷野 敦
  • 出版社/メーカー: 幻冬舎
  • 発売日: 2011/05
  • メディア: 単行本



フリーのライターが書いた歌舞伎関係の新書は、読後に不愉快な思いをさせられることが多かったので、なるべく手にとらないようにしていた。特に中川右介の著書は大嫌いである。小谷野敦ならば大丈夫かと手にして「まえがき」を読んでビックリ。

猿翁、今の猿之助ともに、これを扱った著作はあるが、いずれも、自著、聞き書き、または猿之助を宣伝する立場の人が書いたものである。私は中川右介さんが『十一代目市川團十郎と十五代目中村歌右衛門』『坂東玉三郎』など、本人のお墨つきでない歌舞伎俳優論を書くのを見ていて、技癢を感じて、自分も書いてみたいと思い、これを思いついた。

中川右介の著書を読んで、技癢を感じて、自分も書いてみようとは、この著者は馬鹿なのかと思った。しかも十五代目歌右衛門って…。賢明な読者はお気づきと思うが、六代目中村歌右衛門の間違いなのである。本文は、膨大な資料の引用がされているが、間違いが多すぎるし、本当のことなのか疑わしいことも記述されている。猿之助のことよりも、間違い探しをするための本なのかと訝った。

どうしてこんないい加減な本が出版できるのか…。下手な文章で読みにくいし、中川右介のような悪意の裏返しの熱意ももなく、読者の週刊誌的な興味を刺激する商才?もないので、なんとも意味不明の本になってしまった。新書ブームとはいいながら、よほどライターが不足しているに違いない。最後まで辛抱強く読み通した自分を自分でほめてあげたいくらいである。この間違いの多さって、校正したのかしらん?

あとがきで、もっと驚くことが書いてあって唖然とした。何これ?

しかし愉快なことだが、中川さんは市川宗家、團十郎家を、歌右衛門の対立者としてひいきしているらしく『坂東玉三郎』でも、「勧進帳」が、市川宗家のものであることを忘れてはならない、などと書いている。しかし初代、二代と、市川宗家と何かと対立してきた澤瀉屋について書いてくると、何をっ、市川宗家のものだなんて、忘れたっていいじゃないか、という気がする。書いていると情が移るらしい。しかし、ファンというものは恐ろしいもので、中川さんなどかなり玉三郎に入れ込んで書いているのだが、それでも、歌右衛門との対立などという、醜い面は見たくないといった面々が、アマゾンレビューあたりで難癖をつけているから、おかしい。 

おかしいのはお前の方だろう!と突っ込みたくなるような本でした。プロ意識に欠けたやっつけ仕事の結果をみたければ、どうぞお読みになってみてください。中川右介と同じ幻冬舎新書から出ています。
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コメント 6

もも

同感です!!
私も2週間前に読了しましたが、間違いの多さと読みづらい文章は、中川氏の著作以上に不快でした。
by もも (2011-06-22 22:37) 

ねじ

涙出して爆笑してしまった。図らずも天使さんの記事を産んだこの新書を読む予定はありませんが。天使さんブラボーです。いつも読ませて頂いてます。
by ねじ (2011-06-24 03:33) 

同憂の士

あとがきで「金閣寺」や「廿四孝」など、戯曲の価値もなくつまらない、と書いていますね。だったら書かなければいいんですよ。
対象に対する愛がないのですから。
中川氏も、新著で五代目團十郎の家訓を意図的に誤読し、ゴーマンだと珍説を振りまいています。まったく迷惑な存在です。
その一方で、菅首相のブレーンと称して得々とテレビにでてくる。
このご両人は無視するにしかずだと思いますがね。
by 同憂の士 (2011-06-24 10:43) 

踊る××に読む××

中川右介さんと小谷野敦さんが、この前神保町の東京堂でトーク
セッションやったらしいですね。当然のことながら私は行きませんでしたけど。
劇評家や、一家言ある人たちを何とか振り向かせて、同じ土俵に上げたいみたいですけど、むなしいですねぇ。
むしろ、幻冬社程度ならいいけど、こういう人たちに朝日や文藝春秋が市民権を与えてしまう方がヤバイと思いますね。
こういうコピペ本を出しちゃう編集者のやっつけ仕事も問題でしょう。
天使さん、良く言ってくださいました!

by 踊る××に読む×× (2011-06-25 08:14) 

犬丸治の精神の退廃

「間違いだらけ」と言いつつほかに(特に私が訂正済みのもののほか)何が間違いか指摘もせず、しかも匿名でそういうことをするというのは、精神の退廃である
by 犬丸治の精神の退廃 (2013-02-16 14:48) 

畑山千恵子

アマゾンの評に「小谷野敦は無教養」という評がありました。田口順子さんの「八代目坂東三津五郎」を侮辱するような評を出すような人物ですから、当然のことです。
最近、朝日新聞、文芸春秋社、講談社がこぞって中川右介のものを出すから困ったものです。音楽関係でも迷惑な人物ですし、どうしようもないですね。それに小谷野敦という人もある意味、困った人ですね。
by 畑山千恵子 (2013-12-17 23:04) 

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