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新国立劇場バレエ団  ホフマン物語 [バレエ]

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【Twitterより】
ピーター・ダレル振付『ホフマン物語』プロローグと第1幕が終了。装置、衣裳、照明は新制作したものの、やはり40年以上前の作品なので古さは否めない。ほぼオペラと同じ展開なのだが、ミューズが登場しないので詩人ホフマンではなく単なる酔っ払いの親父みたいなのは困る。振付は軽妙だが深みゼロ。

『ホフマン物語』第2幕終了。アントニアを病弱なバレリーナ志望の女性に変え幻想のバレエ場面を作るなど巧妙な構成。簡素でオーロラを連想させる幕の装置と照明が秀逸。小野絢子のアントニアが素晴らしい。踊る喜びを胸に命懸けで踊り続ける姿に彼女自身が重なって感銘を受ける。福岡雄大も良かった。

『ホフマン物語』終了。福岡雄大のホフマンやトレウバエフのリンドルフの男性が主役だが存在感が今イチ。米沢唯のジュリエッタは妖艶さが不足。結局、酔っ払い親父の愚痴を聞かされたような感じで終わる。歌劇のような希望が皆無とは?オペラ座のポスターに東京劇場とか大原永子と書かれていた(苦笑)

本当にオペラから安易にバレエ化して大失敗した作品じゃないかと思う。第2幕の小野絢子以外は観るべきところがなかった。どうしてこの程度の作品を新制作として上演したかったのか疑問。芸術監督の大原永子は、ダンサーとして全ての女性役を踊っただけに思い入れが深かったかもしれないが、そのための作品を客観的に観ることができなかったのかもしれない。観客は正直で天使のいた3階席はガラガラだった。


芸術監督:大原永子

音楽:ジャック・オッフェンバック
編曲:ジョン・ランチベリー
振付:ピーター・ダレル
装置:川口直次
衣裳:前田文子
照明:沢田祐二

指揮:ポール・マーフィー
管弦楽:東京フィルハーモニー交響楽団

2015年10月31日(土) 18時開演

【ホフマン】福岡雄大
【オリンピア】長田佳世
【アントニア】小野絢子
【ジュリエッタ】米沢 唯
【リンドルフ(悪の化身)ほか】  マイレン・トレウバエフ

海賊 熊川哲也Kバレエカンパニー [バレエ]



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2015年5月30日(土)配役表

熊川哲也のKバレエカンパニーとしては代表作ということらしい。今回の公演には熊川哲也は出演しないのだが、前半の公演にはメドーラに中村祥子が、後半にはニーナ・アナニアシヴィリが出演というのが目玉らしい。

もともと『海賊』という作品は、ストーリー的には感動的というよりも突っ込みどころが満載の物語の展開。ひたすらダンサーが次から次へと繰り出す超絶技巧が売り物といったところだろうか。さすがに熊川哲也のバレエ団だけあって、男性ダンサーには究極?の振付がされているらしく体力の限界に挑むような動きが続く。
それも確かにバレエを観る大きな愉しみには違いないが、バレエは雑技団ではない。心に秘めた想いを言葉の力を借りずに表現するものだとしたら、なんとも底の浅い見世物になってしまう。

熊川哲也の持ち役アリを継承した池本祥真は、熊川にも負けない超絶技巧を次々と披露するが元気が良いだけで伝わって来るものは少ない。コンラッドのスチュワート・キャシディにいたっては、身体は重いし、切れは悪いし、見ているのが辛かった。Kバレエ団は、なんとも危うい部分を歩んでいるのだが、それを救ったのが中村祥子である。その恵まれた肢体。心の中に秘められた情感を丁寧に表していく表現力。そして観客を驚かすフェッテの超絶技巧。彼女のバレエを観ることの喜びに満たされた公演だった。

熊川好みのドラマチックな展開にすべくアリは撃たれて死んでしまうのだが、別に死ぬ必要もなかったような気がする。それにしてもオーチャードホールの視覚条件と音響条件の悪さはなんとかならないものだろうか。久々に1階後方のサイドだったので、バルコニー席が舞台をふさいでしまって、オーケストラピットの音楽が飛んでこないので、舞台作品を楽しむ余裕が全くなかったのは残念である。




英国バーミンガム・ロイヤル・バレエ団  「シンデレラ」ビントリー版・初日  東京文化会館 [バレエ]

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  • 出版社/メーカー: Kultur Video
  • メディア: DVD







DVDで発売されているビントリー版の『シンデレラ』。その主役を踊っているシンデレラのエリシャ・ウィリスと王子のイアン・マッケイが配役されている2015年5月1日(金)初日の舞台を観た。昨年までビントリーが芸術監督を務めていた新国立劇場の『シンデレラ』は定評あるマクミラン版。先行する作品を超えるバレエに仕上なければならなかったので、ビントリーの重圧は相当なものだと想像したが、いかにもビントリーらしい作品に仕上がっていて面白く観ることができた。

何よりも主役の二人が踊ることに積極的というか、自発的というか、踊ることが好きで好きで仕方がないという気持が伝わってきて、品に欠ける派手な見せ場はなものの、誰もが知る物語を大人も子供も楽しめ、心の温まる舞台となっていた。

東京文化会館の大きな舞台を、プロセニアムアーチを黒幕で仕切り、本拠地?と同じサイズにしてオリジナルに忠実に上演しようとしたようである。開演が近くなるとオペラカーテンが上がり、「シンデレラ」のための深夜12時直前の時計の文字盤が描かれた緞帳が現れる。第3幕では、その時計が壊れた絵が描かれていてなかなか芸が細かい。

オーケストラピットは、プロコフィエフの音楽を演奏するには小さいらしく、本舞台の下までオーケストラピットは拡張されていた。演奏は東京シティ・フィルハーモニック管弦楽団なので、多くは期待していなかったが、指揮であるポール・マーフィーのおかげで、大きな破綻もなく、綻びがあまり目立たない音楽を奏でることに成功していたように思う。

シンデレラを演じたエリシャ・ウィリスは、第2幕の舞踏会の部分でトゥ・シューズを履くけれども、その他はずっと裸足で踊るという皮肉?な演出というかよく考えられている演出というか、面白い工夫だと思った。トゥ・シューズこそ履いていないものの、紛れもないバレエで、こうした踊りもありなのかと驚きをもって舞台を眺めた。物語は定石どおりの展開で、ビントリーらしいヒネリは、カエルの御者、トカゲの従僕、ネズミのお小姓が頭にマスクを被る形式で踊っていたことである。まあ、お子様を意識したものでビントリーお得意の手法ではある。一番驚いたのは、カボチャ?の馬車が舞台上でアッという間に出現したことである。

それ以外は、音楽が途切れなく演奏されるようにバレエも途切れることなく続いていくので、出演者はかなりの負担だったのではないだろうか。それでも、出演者の幸福が客席にも伝わってきて、本当に舞台を観ながら幸福になれるという希有な経験をした。

2015年5月1日(金) 18時30分開演 東京文化会館

バーミンガム・ロイヤル・バレエ団「シンデレラ」本日のキャスト

シンデレラ:エリシャ・ウィリス
王子:イアン・マッケイ
やせっぽちの義姉:サマラ・ダウンズ
ふとっちょの義姉:ローラ・パーキス
シンデレラの継母:マリオン・テイト
仙女:イヴェット・ナイト

春の精:水谷実喜
夏の精:セリーヌ・ギッテンズ
秋の精:アランチャ・バゼルガ
冬の精:デリア・マシューズ
ダンス教師:ジェームズ・バートン
仕立て屋:ジョナサン・カグイオア
理髪師:ローリー・マッケイ
かつら屋:キット・ホルダー
カエルの御者:ジェームズ・バートン
トカゲの従僕:ヴァレンティン・オロヴャニコフ、ジョナサン・ペイン
王子の友人たち:
チュウ・ツ・チャオ、ファーガス・キャンベル、
マティアス・ディングマン、ウィリアム・ブレイスウェル
執事:ローリー・マッケイ
ネズミのお小姓たち:東京バレエ学校
仕立て屋のアシスタント、お星さま、貴族たち、給仕:英国バーミンガム・ロイヤル・バレエ団

指揮:ポール・マーフィー
演奏:東京シティ・フィルハーモニック管弦楽団

◆上演時間◆

第1幕 18:30-19:15

休憩  20分

第2幕 19:35-20:15

休憩 20分

第3幕 20:35-21:00


戦後のバレエ界を牽引してきたバレエダンサーの谷桃子さんが死去 [バレエ]



残念ながら天使は谷桃子バレエ団の公演を観たことがない。かつては日本のバレエ界の中心にいたバレエ団だが、現在はどちらかというとバレエの観客にとっては目立たない存在であるといってもよいのかもしれない。全くバレエを知らない人にバレエ界で知っているダンサーの名前を挙げよといえば、森下洋子とか熊川哲也がでてくるだろう。森下洋子の前には、バレエといえば谷桃子というほど有名だったらしい。50年ほど前にはバレエ団も大きく、男性のダンサーも多く抱え、全国公演も積極的に展開していたらしい。

谷桃子といえば『ジゼル』というくらい最高の当たり役だったらしく、引退公演の演目も『ジゼル』だったはずだ。テクニックよりもなによりも、谷節?という独特なジゼルの世界だったらしく、入魂の演技が多くの観客を魅了したらしい。その一方で努力の人だったらしく、年齢を重ねてもレッスンは欠かさなかったという。

ご冥福をお祈りいたします。


バレリーナ谷桃子物語

バレリーナ谷桃子物語

  • 作者: 小林 進
  • 出版社/メーカー: 雄山社
  • 発売日: 2008/03
  • メディア: 単行本



英国バーミンガム・ロイヤル・バレエ団「白鳥の湖」 初日 [バレエ]




2015年4月25日(土) 東京文化会館での初日。一旦発表された配役は以下の通り。


オデット/オディール:ジェンナ・ロバーツ
ジークフリート王子:マシュー・ゴールディング
女王:マリオン・テイト
ロットバルト:ジョナサン・ペイン
ベンノ(王子の友人):マティアス・ディングマン

【第1幕】

王子の友人たち:サマラ・ダウンズ、イヴェット・ナイト、デリア・マシューズ、
チャン・イージン、ウィリアム・ブレイスウェル、ジョナサン・カグイオア、
ファーガス・キャンベル、ブランドン・ローレンス
二人の高級娼婦:アンジェラ・ポール、ローラ・パーキス
貴族、侍女たち:英国バーミンガム・ロイヤル・バレエ団

【第2幕】

小さな白鳥たち:アランチャ・バゼルガ、水谷実喜、エミリー・スミス、カーラ・ドアバー
二羽の白鳥:サマンサ・ダウンズ、デリア・マシューズ
白鳥たち:英国バーミンガム・ロイヤル・バレエ団

【第3幕】

式典長:ローリー・マッケイ
ハンガリーの姫君:エリス・シー
ポーランドの姫君:サマラ・ダウンズ
イタリアの姫君:平田桃子
チャルダッシュ:ルース・ブリル、ジョナサン・カグイオア ほか
マズルカ:英国バーミンガム・ロイヤル・バレエ団
ナポリの踊り:ジェイド・ヒューゼン、ローラ・パーキス、ジェームス・バートン、キット・ホルダー
スペインの踊り:イヴェット・ナイト、チャン・イージン、ブランドン・ローレンス、
ヴァレンティン・オロヴャニコフ
大使、小姓、護衛、従者、貴族たち:英国バーミンガム・ロイヤル・バレエ団

【第4幕】

白鳥、小さな白鳥たち:英国バーミンガム・ロイヤル・バレエ団

指揮:フィリップ・エリス
演奏:東京シティ・フィルハーモニック管弦楽団
協力:東京バレエ団


◆上演時間

第1幕(転換3分)第2幕 14:00-15:15

休憩 20分

第3幕 15:35-16:20

休憩 15分

第4幕 16:35-16:55

開演前にビントリー芸術監督が幕前に登場し、以下の経過を発表した。その時点では27日の代役は発表されていなかったが、新しいパートナーとのリハーサルの時間が取れなかったので、第1幕のジークフリート王子役は予定通りマシュー・ゴールディングが踊り、第2幕以降はセリーヌ・ギッテンズとタイロン・シングルトンが踊るという変則的な上演となった。

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英国バーミンガム・ロイヤル・バレエ団公演 「白鳥の湖」(4/27)オデット/オディール役変更のお知らせ

英国バーミンガム・ロイヤル・バレエ団「白鳥の湖」(4/25、4/27)でオデット/オディールを踊る予定だったジェンナ・ロバーツが、リハーサル中に足を捻挫したため、本日(4/25)の公演に出演できませんでした。そのため第1幕のジークフリート王子役は予定通りマシュー・ゴールディングが踊り、第2幕以降はセリーヌ・ギッテンズとタイロン・シングルトンが主演いたしました。

4月27日(月)の公演につきましては、ロバーツの回復が見込めないため、オデット/オディール役は平田桃子が踊ります。ジークフリート役につきましては、当初の予定通りマシュー・ゴールディングが踊ります。

以上の変更につきまして、なにとぞご了承のほどお願い申し上げます。



冒頭のダイジェスト映像のように、国王の葬儀の行列から始まる「白鳥の湖」の物語。暗く重厚な美術で繰り広げられるピーター・ライト版。演出振付は異なるが東京バレエ団の『白鳥の湖』に客演したマシュー・ゴールディングの王子が実は一番の楽しみだった。



9.5頭身の小顔で長くて美しい手足。王子という気品と憂いに満ちた佇まいが適役と思われたのだが、第1幕と第2幕が続けて上演された部分の前半しか登場しなくてガッカリ。オデット/オディールが誰であろうと、マシュー・ゴールディングが演じるのでなければ意味が無いのである。

初日の公演を救ったのは、2日目に踊る予定だったセリーヌ・ギッテンズとタイロン・シングルトン組である。英国で黒人初の『白鳥の湖』を踊ったことで有名らしいが、深い感銘を残したゴールディングからシングルトンに突然変わってしまっては奇妙な違和感ばかりが残って、2幕は集中できなくて全く楽しめなかった。

3幕目からは、途中での配役交替もなく、本来のこの組の実力を発揮して、超絶技巧を次々に繰り出して驚かせてくれた。4幕は王子の亡骸を友人のベンノが抱きかかえて舞台前に進むうちに、背景には亡くなったオデットと王子が結ばれて立つという幕切れ。宮廷の人々など東京バレエ団のダンサーが助演していたようだが、少ない陣容でも厚みを感じさせる上演となったのは何より。

たゆまぬ訓練の賜物か、不安定なダンサーがいなかったことが日本の団体との大きな違いだろうか。決して揃っているといいがたいコールド・バレエだったのだが、ダンサーの肉体にゆるみがなくて、外国の団体を手放しで受け入れるわけではないのだが、やはり日本のバレエ団では表現しきれない積み重ねたものがあるように思えた。27日のオデット/オディール役は平田桃子に決まったようだが、マシュー・ゴールディングとの共演がどのようなものだったか大いに興味がある。

テーマとヴァリエーション  新国立劇場バレエ団の 『トリプル・ビル』初日より [バレエ]

観劇予定には入れていなかった新国立劇場バレエ団の『トリプル・ビル』の初日公演を観る。もっとも、16時から新橋演舞場で藤山直美主演の『スーパー喜劇 かぐや姫』を観る予定だったので、最初の演目であるバランシンの『テーマとヴァリエーション』だけを観ることにした。歌舞伎座でいう幕見席をセルフでやってみた訳である。月末にかけて忙しくてスケジュール上どうしても観ることができないので、無理を承知で挑戦してみたのである。

その理由のひとつは、プリンシパルの小野絢子の踊りを観ること。このところ何を踊っても天使の心をわしづかみにするダンサーで全く目の離せない存在だからである。3月28日(土)にNHKホールで行われる『NHKバレエの饗宴2015』でも、 「眠りの森の美女」第3幕からでは、主役のオーロラ姫を踊るということだ。残念ながら観に行けないのだが、テレビでも放送されるようなので楽しみに待ちたい。

そして、指揮がアレクセイ・バクランだったからである。日本バレエ協会の『コッペリア』でも素晴しい演奏を聴かせたが、新国立劇場の『ラ・バヤデール』に引き続いての登場である。なんといっても、ダンサーにあわせるしか能のないような日本人の指揮者と違って、音楽性に富んだ演奏でダンサーの能力を最大限引き出そうとするのが聴いていて心地良いからである。

さてオーケストラを使用するのは最初の演目だけという贅沢さを同じく天使も選んだのだが、たった25分ほどの作品でも大きな満足を得ることができた。それは、小野絢子ほどの才能をもってしても完璧には踊ることの出来ないジョージ・バランシンの複雑な振付をも超えて観客の胸に迫ってくるものが彼女にはあるからである。彼女から伝わってくる「踊ることの楽しさ」、「踊ることの嬉しさ」が観客を幸福にしてくれるからである。観ているだけで幸福にしてくれるダンサーを他にしてくれるダンサーを他に知らない。バクランの音楽も同じ。彼の指揮から生み出される音楽には精気があり、ダンサーを鼓舞する力があるからである。こればかりは実際に聴いてもらう他ないのだが。

そしてジョージ・バランシンの音楽を視覚化したともいえる素晴しい振付。出演者にはかなり高度な技術が要求されているのだが、実は何も動かないダンサーにもちゃんと目が行き届いていることに気がついて驚嘆した。そう音楽は音の出ている部分ばかりが音楽ではないのである。ダンサーも動き回っているときよりも静止している部分にこそ多くのものが求められているようなのである。

それは会場となった中劇場の構造によるのかもしれない。扇形で横幅のある客席が中心に向かって視線を集めるすり鉢型の形状。それが観客の集中力を増し、ダンサーに対して親近感を抱かせる一因ともなっていたようだった。ただし階段状の客席なのでバリアフリーへの配慮がなく、観客にとっては困った劇場なのだけれど。

『テーマとヴァリエーション』

スタッフ
【音楽】ピョートル・イリイチ・チャイコフスキー
【振付】ジョージ・バランシン
【指揮】アレクセイ・バクラン
【管弦楽】東京フィルハーモニー交響楽団

プリンシパル:
小野絢子
福岡雄大

『テーマとヴァリエーション』〈レパートリー〉
 20世紀アメリカを代表する振付家ジョージ・バランシンが1974年に発表した作品で、ステップや身体の動きでチャイコフスキーの音楽をより細かく表現した華やかで美しい作品です。新国立劇場バレエ団では、2000年の初演以来再演を重ね、アンサンブルの美しさで高い評価を受けています。「見る音楽」と評されるバランシンの振付をご堪能ください。

ミハイル・バリシニコフ&ゲルシー・カークランド主演 ABT公演

美空ひばりとバレエ バレエには演歌が似合う [バレエ]

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このところ意欲的な公演が続いているNBAバレエ団。次回公演は以下の通りである。

『HIBARI』~全ての美空ひばりファンに捧げる

国民的歌手、故美空ひばりさんの人生が、大ヒットミュージカル「Swing!」などを手掛けた世界的振付師によってバレエ公演になることが13日、分かった。「HIBARI」と題し、6月13、14日に東京・芝公園のメルパルクホールで上演される。長男で、ひばりプロダクション社長の加藤和也氏(43)は「固定概念を覆す美空ひばりの新しい世界を見てもらえる」と胸を張った。

二十七回忌を迎える6月に、ひばりさんの52年の人生がバレエになる。

 舞台は幼少期、スターになっていくさまなどを4部構成で表現。ひばりさんの写真を使った特別映像を5つのスクリーンで映し出し、「お祭りマンボ」など約10曲に合わせて、NBAバレエ団の約50人が踊る。

 演出は、世界的に大ヒットしたミュージカル「Swing!」や映画「フットルース」などの振り付けを手掛けたニューヨーク在住のリン・テイラー・コーベット氏。

 来日中のリン氏は、本番に向けて練習する団員を指導後、サンケイスポーツの取材に「バレエを鑑賞した後、ひばりさんが今ここにいたんだ、という印象を持ってもらえるような振りつけにしました」と声を弾ませる。同席した加藤氏も「バレエと母の音楽のジャンルは離れているものと思っていましたが、素晴らしく融合していて鳥肌が立ちました」と興奮を隠せない。

 製作のきっかけは昨年5月、リン氏がNBAバレエ団芸術監督の久保●(=糸へんに宏)一氏(42)に指導を依頼されて来日した際、TBS系特番「美空ひばり没後25年」を宿泊先のホテルで偶然目にした。「ひばりさんの歌声はエディット・ピアフやジュディ・ガーランドに並ぶと思った。テレビを見た瞬間から恋に落ちました」と身ぶり手ぶりを加えて説明する。

 帰国後、ひばりさんのことを調べ、「第二次世界大戦後、歌で日本の家族を一つにまとめる力を持った人」と知り、「何が何でも舞台を作りたかった」と熱望。同11月に再来日し、加藤氏に直談判した。快諾を取り付けたリン氏は東京・青葉台のひばり邸の霊前と横浜市の墓前に手を合わせ、翌日には京都・太秦のひばり記念館へ足を運び、イメージを膨らませた。

 リン氏は「ひばりさんをお祝いするハッピーエンドな舞台にしたい。米国の関係者も興味を持っているので、次は海外でトライしたい」と世界上演を誓った。


実はバレエには演歌が似合うのである。ド演歌も間が大切。バレエも間が大切。『白鳥の湖』の黒鳥のパ・ド・ドゥの冒頭場面を観て欲しい。これを聴くたびに天使の脳裏には、派手な衣裳を着たピンから兄弟の宮史郎の姿が浮かぶのである。音楽の合間、合間はまさしくド演歌で唸っているように聴こえる。たとえザハロワが踊っていようとも。

スヴェトラーナ・ザハロワによるオディール


ウィーン・フィルのニューイヤーコンサートで有名な『美しく青きドナウ 』だって演歌っぽい歌詞をつけると驚くほど合う。以下の歌詞で画面のバレリーナが二人のダンサーにエスコートされて階段を上るあたりから歌ってみて欲しい。

♪港町、函館。港町 釜石。港町、横浜。港町、長崎。港町、鹿児島・・・。
♪悲しい、おんな、ひとり泣きぬれる。

ウィーン・フィル ニューイヤーコンサートの『美しく青きドナウ 』


バレエと演歌には親和性があり、美空ひばりの歌謡曲にバレエの振り付けをした小品の例は過去にもあるようだ。しかし、日本人の振付家がちょっとやそっとで手の出せる相手ではない。というところで外国人の振付家の登場ということだろうか。

日本人ならとてもできないような作品が生まれる可能性は高い。恐いもの知らずで作ってしまったようなモーリス・ベジャールの『ザ・カブキ』とか…。あれはベジャール自身が日本の若い男性ダンサーの六尺褌姿が見たかっただけではないだろうか?一度観れば沢山の作品で名作というよりも、何か勘違いしたような迷作の部類ではあるけれど。美空ひばりの作品は、楽曲が黛敏郎ではない分だけ成功するのではなかろうか。

「ジゼル」(全2幕) 東京バレエ団創立50周年記念シリーズ  ゆうぽうとホール [バレエ]

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ミラノ・スカラ座バレエ団 ジゼル(全2幕) [DVD]

ミラノ・スカラ座バレエ団 ジゼル(全2幕) [DVD]

  • 出版社/メーカー: TDKコア
  • メディア: DVD



序曲が始まると真紅のオペラカーテンに「東京バレエ団」の英文字に続いて「創立50周年記念」のロゴマークが映し出された。ジゼルのスヴェトラーナ・ザハロワとアルブレヒトのロベルト・ボッレを主役に招いた公演は大人気で追加公演も早々と決定した。主役の二人はミラノ・スカラ座バレエ団で共演し、その映像がDVDにもなって販売されている。二人の共演は、多くのバレエファンに待たれていたものなのだった。もっとも全席売り切れだと思っていたら、当日券も若干枚ながら発売はされていたようである。

結果から言えば、第1幕は普通の出来で、第2幕は二人とも素晴しいテクニックを披露してくれたものの、感動には至らなかったというのが正直な感想である。どちらかといえば大柄なダンサーであるザハロワは素朴な村娘に全然見えない。テクニックはあるけれど情感に乏しく、心を失っていく芝居も通り一遍な表現で哀れさに乏しかった。対するボッレも二股をかけるチャライ男にしか見えなくて魅力に欠けていた。「世界一美しいウドの大木」とは彼のためにある賛辞だったのかも。

東京バレ団の面々も、しっかりと踊ってはいるが没個性の集団と化してしまい、もっと観客にアピールするような踊りであってもよかったのではないだろうか。厳しい訓練の賜物なのか、正確なダンスではあっても伝わってくるものは少なかったように思う。第1幕でよかったのは、ニコラ・ベノワの美術と衣裳。これは東京バレエ団の貴重な財産である。本当に美しく品のよいもので、いつまでも大切にして欲しいと思った。

第2幕は、なんといっても主役二人のテクニックが冒頭から発揮されて、『ジゼル』の世界から離れてしまったような気もするが、ザハロワのスピード感ある正確無比な動きは驚くほかはなかった。ボッレも永遠に続くのではと思わせるような長いアントルシャ・シスを披露して驚かせた。第1幕では、長身同士のペアで哀れさに乏しかったが、ボッレの渾身の演技のおかげで「二股」の罪は消え、ひたすら失ってしまった人への愛の深さだけをみせて心打つものがあった。何故かアルブレヒトの背中にアラベスクで寄り添う有名なポーズがなくて、二人の間の愛をあまり感じさせない演出だったのが少し不満。

よく観ると二人とも年齢を重ねているのがわかって、もう少し遅ければ二人の共演を東京で目にすることはできなかったかもしれない。夏に行われる第14回世界バレエフェスティバルには二人は参加しないようで、非常に貴重な機会だったのかもしれない。これで心を震わせるような感動に至っていれば最高だったのだが、実はこの二人に『ジゼル』は不向きだったのかもしれない。

<東京バレエ団創立50周年記念シリーズ 10>

「ジゼル」(全2幕)

◆主な配役◆

ジゼル: スヴェトラーナ・ザハロワ
アルブレヒト:ロベルト・ボッレ
ヒラリオン:森川茉央


【第1幕】

バチルド姫:吉岡美佳
公爵:木村和夫
ウィルフリード:岸本秀雄
ジゼルの母:坂井直子
ペザントの踊り(パ・ド・ユイット):
乾友子-原田祥博、吉川留衣-松野乃知、
川島麻実子-梅澤紘貴、河谷まりあ-入戸野伊織
ジゼルの友人(パ・ド・シス):
小川ふみ、加茂雅子、伝田陽美、二瓶加奈子、政本絵美、三雲友里加

【第2幕】
ミルタ:奈良春夏
ドゥ・ウィリ:乾友子、吉川留衣

指揮:ワレリー・オブジャニコフ
演奏:東京シティ・フィルハーモニック管弦楽団

◆上演時間◆

第1幕 19:00~19:55

休憩 20分

第2幕 20:15~21:10

マリウス・プティパ版『コッペリア』全幕  日本バレエ協会公演 東京文化会館 [バレエ]

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なぜ今さら日本バレエ協会が『コッペリア』を上演したいのかわからなかった。所詮は傑作とは言い難いバレエ作品で埋もれてしまったのではないだろうか。発表会に毛が生えたような生ぬるい舞台になるのではないかと懸念していた。今となっては、その不明を恥じるほかはない。1週間前、最先端のバレエ作品であるマイヨーの『LAC~ 白鳥の湖~』が上演された同じ場所で、マリウス・プティパ版が復元上演されるとは。バレエの持つ懐の深さに感じ入った。

今回の上演の成功は、復元振付を担当したセルゲイ・ヴィハレフと指導にあたったバレエ・ミストレスの鈴木未央の力によるところが大だったと思う。特に第1幕で踊られた「マズルカ」と「チャルダッシュ」は今後の語り草になるのではと思えるほど素晴しいものだった。所詮はコールドバレエが音楽に合わせて右手を上げて、はい左手といった気合いの入らない振付で、単なる時間稼ぎぐらいだろうという先入観は見事に打ち砕かれた。

オーディションで選ばれたダンサー達は、体型で選ばれたのか、見事に揃ったプロポーションを披露してくれた。しかも、ソリスト級の高い技術を持ったダンサーが混じっているのが素人目にもわかった。さらに振付のヴィハレフの厳しい指導があったに違いないないのだが、ダンサーが極限まで身体を曲げて全体を使って懸命に踊っているのである。しかも、指揮者のバクランのちょっと早めのテンポの豊な音楽性と躍動感に満ちた音楽のおかげで、ダンサーにもその音楽の精気が伝わったようで、今まで観た中で、最も充実しているコールドバレエだった。苦しい訓練を経て、この舞台に賭けるのだという気迫が伝わってきた。みな同じバレエ団ではないので、揃って稽古するのも困難だったはずである。大きな心からの拍手を贈りたい。

そしてコールド・バレエの水準が高いので、ソリストもそれに触発されたか、かなり踊りの部分が多く、主演者は負担が大きかったはずだが、見事に踊って観客を魅了した。第2幕は、スワニルダの下村由理恵は出ずっぱりで踊りとおさなければならないが、気力で乗り切ったという感じで大いに心を動かされた。このバレエは、王子や王女が登場する作品ではなく、一般庶民が主人公である。体系的に欧米人のダンサーと比べると見劣りする日本人ダンサーも演技力やダンス力で観客を納得させるバレエが提供できるので安心してみていられるのである。相手役のフランツの芳賀 望やコッペリウスのマシモ・アクリの活躍で、さらに舞台の完成度が上がったようである。

そして第三幕。「お金」でなんでも解決という物語は安易だが、この幕にこめられた願いや祈り、そうしたものが直接伝わってきて感動的な舞台になった。現在の世界情勢や日本国内の少年が少年を殺すような殺伐とした世界に、平和を象徴するパ・ド・ドゥで締めくくられる作品が上演されるというのは非常に意義深いことだと思った。バレエ協会の薄井会長はシベリアに抑留経験があるという。戦のあとは平和をというメッセージを薄井会長はバレエを通して表現したかったのではないだろうか。

衣裳や舞台装置はNBAバレエ団の協力があったようだが、奥行と高さのある東京文化会館の舞台に良く映えて効果的だった。ソリスト陣ではフォーリーの星野姫の美しい足と思いっきりのよいジャンプがきれいに決まっていて印象に残った。さらにアレクセイ・バクラン指揮による東京ニューシティ管弦楽団の演奏もバレエ音楽の枠を超えて躍動感と繊細さを調和させた名演だったと思う。

2015年3月7日(土) 18時開演 東京文化会館

音楽:レオ・ドリーブ ほか
演出・振付:アルトゥール・サン=レオン 
改訂振付:マリウス・プティパ
復元振付:セルゲイ・ヴィハレフ

指揮:アレクセイ・バクラン
演奏:東京ニューシティ管弦楽団

芸術監督:薄井憲二
バレエ・ミストレス:鈴木未央、伊藤範子、川喜多宣子
照明:シアター・ブレーン
舞台監督:森岡 肇
衣裳・装置協力:NBAバレエ団

出演:
【スワニルダ】下村由理恵
【フランツ】芳賀 望
【コッペリウス】マシモ・アクリ
【スワニルダの友人】
綾野 友美
伊地知真波
榎本 祥子
木下 真希
高橋 静香
寺坂 史織
平尾 麻実
山口 千尋

【マズルカ】(ソリスト)
中野亜矢子、小岩井香里
田中 英幸、長清智

【チャルダッシュ】(ソリスト)
安藤 明代
奥田 慎也

【曙】
平尾 麻実

【祈り】
大山 裕子

【仕事】(ソリスト)
鈴木久美子

【結婚】(ソリスト)
佐藤 優美
澤井 秀幸

【フォーリー】
星野 姫

【戦い】
沖田貴士(ソリスト)

市橋 万樹
宮川 新大
アオチャン
五十嵐耕司

【市  長 】
小原 孝司

【神  父】
柴田 英悟

【時の神様】
柴田 英悟

【領  主】
関口 武

バレエ史において貴重なプティパ版『コッペリア』の上演

バレエ『コッペリア』は1870年、パリ・オペラ座で初演されたコミカルなバレエです。この作品はその後かなり短くカットされて上演されていましたが、1884年、ロシアでマリウス・プティパの手によってある程度元の姿に戻されました。しかしこのプティパ版も失われてしまい、今世紀になってセルゲイ・ヴィハレフによって復元されたのが今回上演するプティパ版「コッペリア」です。今日一般に流布している「コッペリア」との違いを見る上でも興味の尽きない作品となっています。

あらすじ

舞台はポーランドのある町。この町にはコッペリウスというちょっと得体の知れない老人が住んでいましたが、いつの頃からか、コッペリウスの家の2階のベランダに妙齢の乙女が現れ、座って本を読む姿が見られるようになりました。青年フランツはスワニルダという恋人がいながらこの乙女が気になって仕方がなく、こっそりコッペリウスの家に忍び込もうとします。一方スワニルダも好奇心旺盛。落ちていた鍵を使ってコッペリウスの家に忍び込んでしまいます。そこでスワニルダが目にしたのは、予想もしていなかったものでした!

NBAバレエ団「コッペリア」公演より